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全身から酒の香りのする美少女のはなしがかきたい 1

全身から酒の香りのする美少女のはなしがかきたい [mb]約11時間 ago from movatwitter

なんとなくだよ。
おとこのことおんなのこがでてくるだけのある意味やおいじゅんいちだよ


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凍えるかと思った。



自宅の門を出た僕は、立ち止まって冷えた空気を肺いっぱいに吸い込んだ。猫背のまま少しあたりを見回してからよし、と踏み出す。左手に向って数十メートル先は長い坂。そこに出てもまだ、僕は自分の薄着に気づいていなかった。元々余り外に出なかった僕は、急に外に出たから寒いんだと勘違いしていたわけだ。
自宅への道を一度振り返り、酷く見晴らしのいい坂の下方を見つめる。僕が学校に行かなくなってからもう半年になる。特に理由があったわけではない。否。強いてあげるとすればこの坂が原因だ。
万年坂と呼ばれるこの長い坂は傾斜がきつく、酷く長い。
坂は最初30mほど直線で続きそのあと緩やかに右に曲がる。景色はいい、とても。
開けた視界、大半が空。右手に続く山稜はやがて平地に繋がり、直ぐに海岸線とぶつかる。今は夕方。沈む日が水平線の少し上で海を黄金に染めていた。
坂の真下から広がる町並みの中には通う学校もある。真ん中より少し右よりに商店街、海辺に新しく立ったマンション、大きな道路、山の直ぐ側に煉瓦の煙突…確か酒蔵だったっけ。
視界の真逆、左隅に少し覗いているのは隣町の繁華街だ。
ここに立つのが、ほぼ一月ぶり。
この町は嫌いじゃないけど、この坂を下って、学校に行って、家に帰るのはひどい苦痛だった。
冬はともかく、夏の帰り道は地獄と化す。幾度か失神しそうになりながらも通っていたけども不意に、僕は目的を見失った。切欠はわからない。まだ暑くなる前、週の中日…確か水曜日。僕はこの坂の上に立って今と同じくあたりを見回して踵を返した。
その日から僕は学校に行くのを辞めたのだ。
親は何も言わなかった。元々あまり会話がないのせいもある。酷く気は楽だった。その日から僕は、図書館に行く時以外は家から出なくなり、その内部屋からもあまり出なくなった。遮光カーテンで仕切られた部屋で昼と無く夜と無く本を読み続け、その繰り返しのうちに人と喋ること、体温、気持ちの波。なんだかそんなもの全てがどこか遠くに行ったような気がした。
何もかもが希薄になった。僕は色んなものを探しているつもりで何もかもを失っている気になった。何も持っていないことに気がついた、というほうが正しいのかもしれない。
ただ、自分という存在があまりにも希薄で、何の目的も見出せず、苦しみとは呼べない。絶望と呼ぶにも生ぬるい。僕はただ目的が欲しかった。
甘えといわれればそれまでだ。でも僕には酷く重たい問題だった。
足を踏み出す。
奈落に続くような傾斜はひどく歩きづらい。精神的に、勿論肉体的にも。殆ど重力に押されるようになりながら直ぐに小走りになっていて慌てて立ち止まる。膝が痛くなりそうだなんて少し考えた。再び歩き出しながら左右を見る。左手のスロープ、右のコンクリート壁。迷ったが、結局右手のコンクリート壁側に徐々に寄っていった。
緩やかなカーブに差し掛かる。何気なくコンクリート壁に手をやりながら僕は冷えた指先を見つめる。震えるほど寒い。でももう、戻る気にはならなかった。ゆるゆると進みながら山側に目をやる。
不意に甘い香りが鼻腔に届いた。熟れ切った果実のようなどこか気だるい甘さ。うっとりするような香りなのに、どこか毒々しい。ふんわりと柔らかいのに、刺すような棘を感じた。

「…」

視線をあげる。そこには、1人の少女がいた。
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